チャイルドシートの新安全基準R129/i-Size(アイサイズ)を正しく理解しよう!

チャイルドシートの新安全基準R129/i-Size(アイサイズ)を正しく理解しよう!

チャイルドシートの購入を検討中、ECE-R44やR129、i-Size(アイサイズ)といった表記をあちらこちらで目にし、どんなものなのかお悩みではありませんか?安全基準の事とは理解できても、いったい何がどのように変わったのか、分かりにくいと思います。筆者自身、はじめてチャイルドシートを希望されるお客様へ、情報を整理して口頭で説明するのはとても難しいキーワードです。

ここでは、チャイルドシートの旧安全基準と新安全基準について比較しながら、変更になったポイントを詳しくご紹介いたします。この記事を読んでいただければ、より安全を強化した安全基準について知ることができます。チャイルドシート選びの参考になれば幸いです。

1. R129、i-Size(アイサイズ)は、さらに強化した新安全基準

新安全基準R129、i-Size(アイサイズ)とは、自動車先進地域であるヨーロッパの国際経済委員会が制定したISOFIX対応のチャイルドシート最新安全基準のこと今までの安全基準「ECE-R44」から、数多くの安全対策をより強化した規格となっています。

主に国内で市販されているものは、ヨーロッパの安全基準ECE-R44に適合した商品が多く出回っ ていますが、これから主流になるR129は、近年の安全テストや事故調査の結果をもとにして新しい規格を盛り込んで、赤ちゃんを守るより安全な基準として生まれました。

チャイルドシート本体の変化について

R129の新基準に合わせ、厳しい検査を通過させるために、チャイルドシートメーカー各社の企業努力により安全なカタチへと強度をまして造られています。

  • 側面からの衝撃に耐えられる構造にしたヘッドパッドや衝撃吸収するシールドを採用。
  • 生後15か月位になるまで後ろ向きでの乗車のできる大きさへシートのサイズアップ。
  • 赤ちゃんのちいさな身体を包み込むインナークッションの素材開発。
  • ハーネスのバックルが簡単に解除できないように、より適度な硬さに。

2. 旧安全基準ECE-R44と新安全基準R129の主なポイント4つの比較

旧安全基準ECE-R44と新安全基準R129の変更点について、主な4つのポイントを紹介していきます。

【Point 1】 後ろ向き装着期間
R44(旧) 生後12ヵ月頃(体重9kg)まで
R129(新) 生後15ヵ月未満まで
【Point 2】 後ろ向き装着の体型基準
R44(旧) 体重を基準とする
R129(新) 身長且つ月齢を基準とする
【Point 3】 衝撃実験
R44(旧) 衝撃実験:前後
R129(新) 衝撃実験:前後+側面/ダミー人形計測によるデータ分析
【Point 4】 シート固定方法
R44(旧) シートベルト固定・ISOFIX固定
R129(新) ISOFIX固定のみ

2-1. 後ろ向きシートの装着義務は生後15か月まで

後ろ向きシートの装着が生後12ヵ月頃(体重9kg)までだったのに対し、新基準では生後15ヵ月未満までの取付が義務になりました。さらに月齢が15ヵ月を過ぎても身長が76㎝未満の場合は、前向きでの使用はできません。

安全先進国のヨーロッパでは、後ろ向きに座らせることで、交通事故発生時の体への損傷が、7割以上も軽減できるという安全性が実証されており、できる限り長い期間後ろ向きに座ることを推奨しています。

2-2. 後ろ向きシートの装着基準が「身長基準」に変更

身長基準

体重を基準とする場合、体の大きな赤ちゃんは未熟なうちから前向きに取り付けてしまうケースが発生します。身体がまだ未熟な赤ちゃんを前向きに座らせることは、万が一の事故の衝撃に対応できず、重大な怪我や、命の危険さえあります。身長基準に変更すること、且つ月齢義務も追加されることにより、チャイルドシートによりフィットとした安全性を確保することができます。

2-3. 衝突実験が追加されて、万が一に備える力を強化

衝突実験

交通事故の衝突実験は、前後からの衝撃に対して行う実験に加えて側面からの衝突実験を追加し、より厳しく判定する事で万が一に備えることができます。

また、最新の先進技術を駆使した精密な「ダミー人形 Q」による衝突テストも追加。ダミー人形 Qには、頭部、首上下、下顎部、胸部、下部脊髄、骨盤に7つのセンサーがあり、より詳細に赤ちゃんの体にかかる負荷を想定出来るようになりました。これにより、衝撃に対して、赤ちゃんをしっかり守る為、細かなデータをもとに判定しています。

2-4. ISOFIX固定にすることで、ミスユースの危険性を削減

チャイルドシートを設置する方法は、(1)乗用車のシートベルトを利用して取り付ける方法、(2)乗用車に備え付けてあるISOFIX(アイソフィックス)の固定バーに取り付ける2つの方法があります。
R129適合のチャイルドシートは、シートベルトでの固定はできません。ミスユースの危険が少ないISOFIX固定のみになっていますので、新米のパパやママでもミスなく確実にチャイルドシートを取り付けることができます。

※2012年7月以降に発売された日本国内の全車種にISOFIXコネクタが装備されています。

ISOFIXマークがついたシート
isofixチャイルドシートがISOFIX固定の場合、必ずチャイルドシートメーカーの車種適合表を確認してください。シート形状などによっては取付ができない場合があります。
i-Size(アイサイズ)マークがついたシート
i-sizeR129のi-Size適合の製品は適合表の確認なしでISOFIX取り付けがOKです。
※ただし、i-Size準拠の製品については、従来通り適合確認が必要になります。
i-Size準拠の製品とは?
i-Size準拠の製品新安全基準R129、i-Sizeと説明してきましたが、今のところ、日本のベビー用品メーカーの製品は、汎用i-Sizeではなく、特定車車両の方で申請を通しているため、R129適合のi-Size準拠となっています。

3. さいごに

R129の基準を満たすチャイルドシートが多く市場に出てくるようになりました。お子さまの安全のために使用するチャイルドシートは規格を通過したものを必ず使用しましょう。

一部、安全基準を満たしていない商品が並行輸入品や海外のネットショップなどで販売されているようです。

大切な赤ちゃんを万が一から守りましょう。

この記事が参考になりましたら幸いです。

※記事内容は2023年7月現在の情報です。

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